遠藤照明

「くらしとあかり」プロジェクト

ホーム トピックス キックオフミーティング

HOME第4回エキシビション>第4回エキシビション詳細

第1回:トラフ×村角千亜希 2007年11月 第2回:井上搖子×角舘政英 2008年2月 第3回:ヨコミゾマコト×松下美紀 2008年5月 第4回:藤本壮介×石田聖次 2008年8月 第5回:棚瀬純孝×中島龍興 2008年11月 第6回:乾久美子×伊藤達男 2009年2月 石田聖次 伊藤達男 角舘政英 中島龍興 松下美紀 村角千亜季 乾久美子 井上搖子 棚瀬純孝 トラフ 藤本壮介 ヨコミゾマコト

真壁
 ここで会場から藤本さん、石田さんにご質問があれば、伺いたいと思います。いかがでしょう。


事務局
 では、実行委員会に出席していた私から石田さんへ。先ほど伊藤さんのお話にもありましたけれども、「えっ、ファイバー?」と多分同時に思ったうちの1人なんですよね。この前の土曜日に、ここの設営をしてこの空間ができ上がって、先ほど学生さんがおっしゃっていましたが、結構まったりとした非常に素敵な時間を過ごしたんですけれども、こうなるのがわかっていて、あのとき光ファイバーとおっしゃったんですか。


石田
 イメージはできていました。実を言うと、あそこで僕はちょっとだけ暗い顔をしていたんです。これで終わってしまったら、僕のデザインする余地がないじゃないかと。ただ、完成してみると、それだけではないというのを改めて感じました。このファイバーはもともと僕の事務所にあった素材で、ある程度の実験はふだんからしていました。でも、これだけの規模でやると、「やられた」という感は実際ありましたね。それで、悔しいから演出をかけたんです(笑)。というのが本音ですね。


真壁
 色合いのプログラムですね。


石田
 ええ。すみません、別に競争しているわけじゃないんですが。


藤本
 でも、僕自身はこの状況が全然イメージできてなくて、できてみて自分で驚いて、すごく楽しんで子供のようにはしゃぎ回っていたんですけれども、いま演出というふうに石田さんがおっしゃった、明るさが変わったり、色がかすかに変わったりというのが入ってきて、「ああ、完成したな」という感じはありましたね。


 特に、明るさが落ちるときには、設営している10数人から、だれからともなく歓声が上がるんです。動かすと光の点滅がよりきれいに見えたり。また明るさが戻ってきたときには、世界が始まったみたいな感動があって、非常にうれしかったんです。何にも光が変わらなくても、そこそこなものにはなるだろうなと思っていたんだけれども、この脈動したり、色が夕日のようなオレンジ色になったりすることで、あと、この音楽で、世界が完成したなという感じがして、すごくうれしかったですね。


 さっきの学生の彼も言ってましたけれど、藤本さん、何も決めてなかったと言いたかったんでしょうね。(笑)確かに僕はコーヒーを飲みながらうろうろして、「ああ、いいねいいね」みたいなことを言ってただけなんです。本当にできてくるものに対して、「ああ、すごいものができてきたな」と言っていただけでした。だから、この完成はすごいことでしたよね。


真壁
 とはいえ、僕はそのプロセスの中で気づいたんだけども、天井を見ていただくと、金網を天井にバインド線で縛りつけてある。そこに髪の毛のようにファイバーが下がっているんだけれども、実はこの本数をざっくりと決めたのは藤本さんなんですよね。最初は3000本なんて話でしたよね。そこから1500本になった。それはもうアバウトの読みだったんでしょうか。それとも、密度が多いとまずいかなと思ったんですか。


藤本
 直感的に何となくですね。僕の中では、現場でもし何かすごく変なことが起こっていたら、これは学生さんには申し訳ないんですが、やり直せばいいやとすごく楽観的に考えていました。もちろんCGとか、事務所でシミュレーションをしたりして、この密度だったらいけそうだという当たりはつけていたんですけれども。


真壁
 さっき出たようなファンクショナルなあかりに対する明るさへの勘というのは、照度や輝度に対するものがあると思うんです。これぐらいだとご飯を食べて暗くないかなとか、これぐらいなら新聞を見るのに十分かなと。ところが、ルナティックなあかりは、密度に対するセンスがあると思うんです。過剰だとだめだし、ぱらぱらでもちょっとなという、密度に対する感受性というのは、実はすごく大事だったんじゃないかなと思うんですね。


石田
 そうですね。最初、僕がイメージできたものはせいぜい一つの光のかたまりでしたが、それが三つ、入り口、中央、奥という形になってくると、やはり建築家はすごいなと思いました。


真壁
 この三つのかたまりの間というのは、どういうふうに意味づけていったらいいのでしょう。


藤本
 難しいですね。三つの島の間ですか。最初にここで実験をしたとき、この光のかたまりを2メートル×2メートルぐらいでつくりましたよね。そのとき、まず中に入ったときの楽しさがあったんですね。それから2〜3メートルぐらいまで離れたときの、点光源なんだけども距離感がわかるぐらいの楽しさがあった。ところが、いろいろ歩き回って見ると、5メートルぐらい離れたときは、意外とつまらないなと思ったんです。なので、間がもしあくとしたら、2〜3メートル以上はあいてはいけないだろうと。そこから先は次のかたまりがあるような、そういう関係につくっていかないとこれは難しいかなと思ったんですね。


真壁
 これが隣接していてもぐあいが悪いんでしょうかね。


藤本
 ただ、この空間を全部埋め尽くしたいという欲求もありましたね。そうしたら、どうなるだろうという好奇心は今でもあって、非常に密度が粗な状態で間が埋まっているというのも、やってみたいなという気はしましたね。


真壁
 どうでしょうか、伊藤さん。埋め尽くした状態というのは。


伊藤
 それも結構おもしろくなるかなとは思うんですけれども、私はこのほうが好きですね。この変化がね。特にこの真ん中の低い光があるというのは、とても全体を生き生きさせていると思いますね。全体を覆って埋めてしまうのは、何となく想像がついてしまうというのがありますよね。